黒い雨 / 井伏鱒二

2012年09月27日 13:56

井伏鱒二の「黒い雨」を読んだ。

ここの所、百田尚樹の永遠のゼロや、阿川弘之の雲の墓標
横山秀夫の出口のない海など、戦争に関する本を読むことが多かったですが、
黒い雨は、軍人視点ではなく、一般市民視点で語られる。

あらすじ
 一瞬の閃光とともに焦土と化したヒロシマ。不安な日々をおくる
 閑間重松とその家族… 彼らの被爆日記をもとに描かれた悲劇の実相。
 原爆をとらえ得た世界最初の文学的名作。

 

小説ではあるものの、被爆者・重松静馬の『重松日記』と
被爆軍医・岩竹博の『岩竹手記』を基にした作品であり、
主人公の名前も重松静馬の名を基にしている。とのこと。

怪我の状況とかは結構きつい表現がされていますが、これが現実に
起こった事だと思うと何とも言えない気分になりますね。
原爆投下時、多くの人が一瞬にして亡くなってしまったけど、
生き延びた人、苦しんで死んでいった人など悲惨という一言では
表現しきれません。

この小説でも直接原子爆弾の被害に遭っていないにも関わらず、
その後の広島を歩き回り、黒い雨に打たれ、傷を負ったことから
爆撃に遭った重松よりもひどい原爆症が症状がでる姪の矢須子が登場します。

この事は本の終盤で明かされますが、重松が軽い原爆症でありながらも
生き続けているにも関わらず、上の状況だった矢須子の方が苦しむという
原子爆弾の恐ろしさがひしひしと伝わってきます。

そして当時は敗戦=植民地化されるという意識が強いので
日本男子は全員去勢されてしまうのではないか、言論統制よりも
もっとひどい状況が待っていると思っていた国民。
言葉で言うと軽いですが、とても不安だったと思います。

敗戦は悔しいが、これでもう爆弾を落とされずに済むという台詞も
最もだと思います。

小説の内容も最後まで厳しい現状が続きますが、これが現実。
戦争は外交の失敗と言われます。今、日本は厳しい立場にいますが
(その理由については何とも言えませんが・・・)今の世で、
そして今後も戦争が起こらないことを願います。


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