新潮社による7人の著者による短編集の3作目、
Story Seller 3を読み終えました。
この企画はこれで終わりの様で、Fantasy Sellerと
趣旨を変えて次の本が出るようです。
△:沢木耕太郎 / 男派と女派 ポーカー・フェース
男と女、どちらから学んできたかということについて。
靴磨きのおばあちゃんと寿司職人の親父さん。
特に感銘は受けなかったけど読み物としてはそこそこ面白い。
○:近藤史恵 / ゴールよりももっと遠く
ストーリーセラー1~3を通してロードレースという
同じ題材を扱い、1と2では現役選手、3では引退後に
思い出話といった内容となっている。
◎:湊かなえ / 楽園
話としては相当悲しい話ではありますが、この設定すごいですね。
完璧主義者の母親による仕打ちが恐ろしいものです。
トンガで出会う子供の母親も酷いもので腹が立ちます。
△:有川浩 / 作家的一週間
作家の1週間をおもしろおかしく描いたもの。
担当とのやりとりや、短編の依頼をされて題材を探して
書き終えるまで。内容的には普通でしたが、こんな感じの
切り口は面白かったです。
○:米澤穂信 / 満願
米澤さんらしい人間の怖さが素晴らしいです。
達磨に背を向かせたものの、わざと掛け軸は避けなかったという
計算高い計画。
×:佐藤友哉 / 555のコッペン
3作を通じて全く馴染めなかった。主人公の語り口調が
中学生みたいで読んでいるこっちが恥ずかしい。
毎度毎度事件に巻き込まれ、探偵赤井が登場。
むしろこの探偵が事件を仕向けてるんじゃないのか?という
程不自然な登場。今回も土江田の過去は明らかにされず、
警察が必要以上に絡んでいる描写のみ。
過去に罪を犯したものの、更正させ、社会に復帰させたが
その後の様子を見ているというもので、それが何?という位
今回のなすりつけ方は酷かった。
○:さだまさし / 片恋
最初はただのマスコミ批判かと思いましたが、
後半ガラッと変わってそこからは面白くなりました。
現実にあった池田小の事件だったり、秋葉原の通り魔事件を
題材にしており、この為に取材もしたのかな?という程
後者は記者目線の描写がしっかり書かれていました。
でもオチは酷かった。ストーカーに同情して泣くなんてことが
あり得るのでしょうか。その家族も人の話を全く聞かずに
酷い一家ではある。一方通行過ぎる。