あるキング / 伊坂幸太郎

2012年08月08日 13:38

伊坂幸太郎の「あるキング」が文庫化されたので購入。
後書きによると、雑誌、単行本、文庫で結構な修正がされているようですね。

と、話がいきなり飛びますが、これを読む前に
横山秀夫の「出口のない海」を再読しました。昨年も8月前後に
読んだ記憶がありますが、この時期に読むと心への響き方が
増すような気がします。表現するのは難しいですが、いろんな感情が
浮かび上がってくるこの本。戦争は忘れてはいけないですね。
井伏鱒二の「黒い雨」や百田尚樹の「永遠の0」も読んでみたいとです。

さて、あるキングに話を戻します。
あらすじ
 天才が同時代、同空間に存在する時、周りの人間に何をもたらすのか?野球選手になるべく
 運命づけられたある天才の物語。
 山田王求はプロ野球仙醍キングスの熱烈ファンの両親のもとで、
 生まれた時から野球選手になるべく育てられ、とてつもない才能と
 力が備わった凄い選手になった。
 王求の生まれる瞬間から、幼児期、少年期、青年期のそれぞれのストーリーが、
 王求の周囲の者によって語られる。
 わくわくしつつ、ちょっぴり痛い、とっておきの物語。
 
今作でも言葉遊びが多彩で、王と求で「球」だったり、
「おーく、おおくをもとめるがいい」的な発言や他にも
少し笑える文章というのが散りばめられています。

王(キングス)に求められる、王が求めるという意味合いから付けられた名前。
しかし王というものは妬まれ、邪魔者扱いされるものでもある。

以下ネタバレを含む感想。
3人の黒尽くめの人達は王求だけが見ることができる訳でもなく、
「マクベス」を知らないと理解できないものなのかもしれませんが、
それはそういう事なのでしょうね。

あと、読み始めて少ししてから目次を読み返した時に
結論が読めてしまったのが少し残念。終盤には残り何年という
文も出てくるのでそのネタバレ自体は大した問題ではないのでしょうけど。

伊坂さんの作品って善人があまりいないというか、みんなそれぞれ
闇がある事が多いですが、今回も色々と悪人がいますね。
(悪人という言い方が正しいかは分かりませんが)

王求をいじめた子を殺してしまう父親、飛び降り自殺した死体が
被っているのがキングスのキャップだった為、ジャイアンツのものに
すり替えてから警察に電話する母親だったり。
ただ、そういった悪事が彼らのイメージをそこまで崩さないのが
不思議でもあります。あの父親、母親ならやりそうだ、で済んでしまいます。

ただ、今回は魅力的な人物を見つける事ができませんでした。
砂漠における西嶋のような。目立つ人物がいなかったですね。
王求自身にも魅力を感じませんでした。
三振をしないとかはちょっと飛び抜け過ぎていてどうかなと。

最後に主な話の語り手が明かされるのは良かった。
生まれ変わりということもあって気にかかってたのでしょうかね。

他の作品に比べて読後の印象はあまり残りませんでしたが、
面白い、つまらないで判断するのも難しいです。

面白いはつまらない、つまらないは面白い。
---
追記
これって王求の伝記だったのですね。
キュリー夫人の件で、
「キュリー夫人には小さい頃から出来事をメモしている人がいて、
 自分の周りにはそういう人はいないから、将来大きな事を成し遂げる
 人間じゃないんだな。」
と言った感じの友達の文章がありましたね。なるほど。
関連記事


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://31iscream.blog2.fc2.com/tb.php/1576-91052005
    この記事へのトラックバック


    New