2012年08月23日 17:22
1956年に出版され、戦後間もない頃の本という事を読んだ後に知りました。
あらすじ
太平洋戦争末期、南方諸島の日本軍が次々に玉砕し、本土決戦が叫ばれていた頃、
海軍予備学生たちは特攻隊員として、空や海の果てに消えていった……。
一特攻学徒兵吉野次郎の日記の形をとり、大空に散った彼ら若人たちの、
生への執着と死の恐怖に身をもだえる真実の姿を描く。
自身が海軍出身ということもあり、本の内容も事実に近いのでしょうかね。
上下関係の厳しさや訓練の厳しさも書かれていますが、淡々と書かれていて
次々に読むことができます。
以下ネタバレを含む感想。
負けはじめるまでは食べ物にも困っている描写がない。兵隊さんへ送るため、
一般庶民には回らなかったのかもしれないけど、外出先でいろんなものを食べたりしていて
予備学生との大きな差を感じた。
その下士官であっても上からは鉄拳制裁を加えられるのだけれども。
学業への未練が厳しい訓練と(ある種の)洗脳によって薄れていく。
友人の藤倉は生へのこだわりをみせるが、訓練中に事故死。
藤倉死す、とその後詳細が書かれる訳だけど、そのグロテスクな内容とは
反対に淡々と書かれていく。
そして最後は主人公も特攻で命を落とすことになるが、
両親に宛てた遺書、唯一生き残った仲間の詩と共に本は終わる。
必要以上に脚色していない文章で、小説としては
「出口のない海」の方が心に残るんだけど、半分はノンフィクションのような
こういう話って面白い面白くないでは評価できない。
やはり死ぬための訓練というのは現代社会ではなんとも信じられません。
ほんの70年前まではそれが当たり前の社会だったというのは恐ろしいです。
- 関連記事
-
- 黒い雨 / 井伏鱒二
- 永遠の0(ゼロ) / 百田尚樹
- 雲の墓標 / 阿川 弘之
- あるキング / 伊坂幸太郎
- 再読2冊 東野圭吾、我孫子武丸
コメント
ジョンバリ | URL | -
はじめまして、いつも拝見させていただいております。
『出口のない海』は回天の話でしたよね。映画を見たことがありますが、今思えば主演が海老蔵だったことは少し残念でした(笑)
やはりこの時期になると戦争のことを考えてしまい、祖父の書斎から拝借した井伏鱒二の『黒い雨』を先日読んだところであります。次は『雲の墓標』、読んでみようと思います!
INDの話をしますと、ヒバートと再契約できたのは良かったですね!
昨季のような躍進を期待できるかは正直分かりませんが…僕は面白いチームだと思っていますよ\(^o^)/
これからも、更新を楽しみにしています!ではでは。
( 2012年08月23日 22:13 [編集] )
31Iscream | URL | gZ7cPoAA
> ジョンバリさん
はじめまして、コメントありがとうございます。
出口のない海は回天の話ですね。映画の存在は知っているのですが
見た事がありません。小説とは少し設定が異なる部分があるみたいですが、
戦争の事実を伝えながらもストーリーがあるので入門としては
手に取りやすい作品だと思います。有名な神風と違い、回天やその他
人間魚雷はさほど取り上げられていない様な気もしますので
そういった点でも自分には衝撃を受けた一冊でした。
実は次に買う本は「黒い雨」と決めていたのでビックリです。
INDは今年は勝負の年でもあり、セントラルディビジョンチャンプを
狙える唯一のチャンスでもあります。(ローズが長期欠場見込みの為)
プレイオフ進出後の躍進はもちろんですが、久しぶりにディビジョンチャンプを
是非とも決めてもらいたいものです。
( 2012年08月23日 22:21 [編集] )
てふてふ | URL | -
阿川氏は料理関係のエッセイを読んだことがありましたが、軽妙ながら大家と呼ばれる文章力が端々にあり、「火宅の人」への興味と、でも怖いだろうな~の気持ち半々で今でも読んでませんw
私も海軍を中心に戦記をいくつか読みましたが、士官だった方が書かれていることもあるでしょうが、特に前線から戻った後の保養所での話で、戦時中も各所・各層・各状況で食糧事情がかも違うのかと、驚きました。その他の戦時中の話しを集めても、如何に断片的にしか我々はモノを知らず知った気になってるかを、書からは沢山教わったので、書籍電子化の利点は沢山ありますが、現在は古書の果たしている過去の貴重な話しや情報の伝播(なかには誇張・デマも勿論ある)が消されたり改ざんされたりするのではないかが物凄く不安です。
( 2012年08月28日 02:06 [編集] )
31Iscream | URL | gZ7cPoAA
> てふてふさん
今他の本を読んでいますが、やはり前線は食糧不足で飢えで無くなった方も
大勢いらっしゃったみたいですね。階級や兵と整備士での待遇の違いなど、
いろいろありますね。
特攻についても志願して散っていった事になっていますが、
上官が志望者を募った時点で命令と同じ意味を持ったり、ものは言いようですよね。
二度と戦争はしてはいけないと、大筋を理解したつもりでも
その中にある細かい事柄に目を向けて来なかった気がします。
学生の頃からもっと真剣に学んでおくべきだと少し後悔しております。
( 2012年08月28日 10:41 [編集] )
コメントの投稿