2011年02月03日 16:14
懲りずに読んでみました。短編集ということであっという間に
読み終わりましたが、なかなか内容がこかったようです。
秋が終り冷たい風が吹くようになると、彼女は時々僕の腕に体を寄せた。
ダッフル・コートの厚い布地をとおして、僕は彼女の息づかいを
感じとることができた。でも、それだけだった。彼女の求めているのは
僕の腕ではなく、誰かの腕だった。僕の温もりではなく、誰かの温もりだった…。
もう戻っては来ないあの時の、まなざし、語らい、想い、そして痛み。
リリックな七つの短編。

収録されているのは
・蛍
・納屋を焼く
・踊る小人
・めくらやなぎと眠る女
・三つのドイツ幻想
冬の博物館としてのポルノグラフィー
ヘルマン・ゲーリング要塞1983
ヘルWの空中庭園
めくらやなぎ~については「レキシントンの幽霊」にも収録されていましたが、
少し書き加えられていました。というか順序的にはこちらが先で、
レキシントンの~の方が改訂されたもののようです。
「蛍」を下書きとして膨らませたのが「ノルウェイの森」とのこと。
以下ネタバレを含む感想です。
最初読んだ後に、なんか不思議な印象が残るな~と思いましたが、
思い返して読んでみると納屋=女性ということだったと
読み取れる様です。
ガソリンをかけて火を付けて燃やすと15分位で終わる。
火を付けたらその場から逃げて遠くから見守る。
小さな納屋が燃えた位じゃ警察は動かない。
と、確実にそう読み取れる訳ではないですが、
女性を殺害する、外国に売るといった感じなのでしょうか。
確か貿易会社で働いているというのもそういう引っかけに
なってるのでしょうかね。初めてこういう仕掛けに気付きました。
もしかしたら他の作品もこういうことなのかもしれませんね。
読み取れていなかったので、村上作品に共感を得ることが
できなかった訳です。
「踊る小人」も面白かったです。
幻覚を見せて声を出させようという部分が、
幽遊白書で海藤vs蔵馬のタブーの能力によるゲームを思い出した。
例によって最後のドイツ3本は全く意図を読み取れませんでした。
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